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ブリヂストン美術館がカイユボットの《イエールの平原》を新所蔵&展示
2015-02-21ランダム表示
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1882 年 カンヴァスに油彩 27.5×35.5cm
作品概要はこちら
こちらは斜光にあてたこの作品。
絵の具の盛り上がりがよりはっきり分かります。
そして、その左上の部分をクローズアップしたのがこちら。
お!明らかにここだけ違っています。
そして紫外線に当てて調査したものがこちら。
四隅に絵の具を加えたあとが残っています。
ここにスペーサーを刺して、戸外からこの作品を運んだのですね〜。
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【図録解説】
「光を描く印象派展−美術館が解いた謎−」展覧会図録P84より
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以下は「公式の調査報告サイト」を翻訳したものです。
詳細図はここに載せていませんのでリンク先をご確認ください。
(間違いがありましたらどうぞご指摘くださいmm)
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この小さな作品では、カイユボットは標準的なF5というサイズのキャンバスを使用している。すでに下塗りがされて売られているこのサイズのキャンバスをカイユボットはよく使用した。(参照:「ノルマン風の田舎の家」「ジル・ブラス紙を持つ男 」「イエールの庭園の角」「マルリーの給水設備」「机上のにんにくのかけらとナイフ」)
画家は美しい庭の風景を、習作を描かずに描いたように見える。
いくつもの絵の具の点と短い波形の線で画面を埋め尽くす前に、いくつかの平塗りとと下塗りを広く塗ることがカイユボットの唯一の「方針」だった。
カイユボットはこのプロセスを勢いよくおこなった。
最初の下塗りが乾いた後、彼は主にウェットインウェットの画法で描いた。それによってこの作品が少ない工程でで描かれたということを仮定することが出来る。(詳細図10,11)
素早く、ダイレクトに描くことはこの作品がモチーフの前で描かれたことを示している。
確かに、戸外で描かれる絵画の典型的な補助具の跡を画面上に発見した。
すべての四隅にある穴と円形のくぼみがある。これはスペーサー(空間を作るための器具)の使用によってできたものだ。([Guillaumin, WRM Dep. FC 749; Bomford 1990, p. 178]参照)(詳細図12)。
その器具は、金属の釘が両外側についている小さな丸い木で出来たものだ。2つ描いたばかりの絵に、これらのスペーサーを角に刺し、別々に離しながら向かい合わせにして安全に運ぶことができた。( [Winsor & Newton 1896, p. 117]参照)
この作品の場合は、充填とレタッチによってこれらの痕跡が隠されているため、今日ではこれらを探さなければわからない。
詳細図2:F5のスタンプが押されている裏面。
詳細図3:斜光をあてた様子
詳細図4:透過光線写真
詳細図5:紫外線写真
詳細図6:X線写真
詳細図7:顕微鏡で見るサイン詳細(1目盛=1mm)
詳細図8:中央下部。絵の具の層が緑色の一部かすれた下塗りと混在している。
詳細図9:顕微鏡で見る、下地と支柱を描いた紫色の下描き。(1目盛=1mm)
詳細図10:顕微鏡で見るウェット・イン・ウェットの様子(1目盛=1mm)
詳細図11:顕微鏡で見るバラの花びら部分の赤い絵の具の固まり。(1目盛=1mm)
詳細図12:顕微鏡で見る作品左下隅の詳細。スペーサー(上)を絵の具が乾いていないうち差したため、円形の跡がついたのだろう。(1目盛=1mm)
For this small painting, Caillebotte used a standard F5 size canvas, a format he often employed, commercially preprimed in white [Berhaut 1994, no. 163, no. 152, no. 38, no. 30, no. 556 ff]. The artist painted the idyllic garden scenery apparently without any preliminary drawing. His only orientation was a few brush-strokes and broader areas of underpainting, before he filled in the picture with countless dabs of paint and short wavy lines. Caillebotte went about this process briskly. After the first underpainting had dried, he worked predominantly wet-in-wet, so that we can assume the picture was completed in just a few sessions (figs. 10, 11). The quick work and the directness of the depiction suggest that the picture was painted in the presence of the motif. Indeed we find on the picture traces of a typical aid to plein air painting. Thus in all four corners there are pinholes and circular depressions, which could be due to the use of spacers [cf. Guillaumin, WRM Dep. FC 749; Bomford 1990, p. 178] (fig. 12). These were small round blocks of wood with metal spikes on both sides: two freshly painted pictures could be safely transported face-to-face when these spacers were stuck into the corners of each to keep them apart [cf. Winsor & Newton 1896, p. 117]. In the present case, attempts were later made to hide these traces by filling and retouching, so that today one has to look for them.
Fig. 2:Verso with standard-format stamp 5 F
Fig. 3:Raking light
Fig. 4:Transmitted light
Fig. 5:UV fluorescence
Fig. 6:X-ray
Fig. 7:Detail, signature, microscopic photograph, (M = 1 mm)
Fig. 8:Detail, bottom centre, where the paint layer is flanking the green, partly abraded underpainting is visible
Fig. 9:Areas where the ground is visible, and violet underpainting line to mark out the espalier, microscopic photograph (M = 1 mm)
Fig. 10:Wet-in-wet applications, microscopic photograph (M = 1 mm)
Fig. 11:Red lake in the area of the rose petals, microscopic photograph (M = 1 mm)
Fig. 12:Detail, bottom left-hand corner of picture, circular impressions in the fresh paint probably result from the use of commercial spacers (see above), microscopic photograph (M = 1 mm)
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